指紋鑑定・指紋採取調査

《アルミニウム粉末による指紋鑑定》

・アルミニウム粉末による指紋検出、鑑定は最もポピュラーな鑑定調査です。
・しかし、手順を間違えると検出が不可能となりますので、十分な注意が必要です。
・特に弊社へ検体を発送する場合の横ズレは厳禁です。厳重に梱包して慎重に発送して下さい。
・出張指紋鑑定調査も可能です。(別途出張料金 有)
・検出可能検体はガラス・金属・ペットボトル・プラスティック・樹脂類・ビニール等の固体です。
盗聴器や鍵・金庫・ドアノブ・デスク・ポスト・取っ手等もアルミニウム粉末で検出致します。

《指紋鑑定用 白色アルミニウム粉末》

検体の色が黒い物に使用します。
専用のハケで丁寧に検体箇所に白色アルミニウム粉末を定着させ、特殊ゼラチン紙(黒色)に転写して御提出致します。

《指紋鑑定用 黒色アルミニウム粉末》

検体の色が白い物に使用します。
専用のハケで丁寧に検体箇所に黒色アルミニウム粉末を定着させ、特殊ゼラチン紙(白色)に転写して、御提出致します。

《指紋鑑定用 混合(黄色)アルミニウム粉末》

検体の色が白や黒以外で黒色粉末も白色粉末も適当では無い場合に使用します。
専用のハケで丁寧に検体箇所に混合アルミニウム粉末を定着させ、特殊ゼラチン紙(白色または黒色)に転写して、御提出致します。

《対象指紋検体採取の場合》

例えば、怪文書が送られる等した場合、そして警察当局への被害届けに躊躇する事情がある場合
手紙類の指紋検出手法は以下に譲るとして、その手紙の指紋と他の可能性がある者の指紋を照合する必要が出てくる場合があります。この場合はアルミニウム法でペットボトル等を利用しての検出が適しています。
もしくは、関係者数名の同意が得られる場合はポリスメイト(黒色特殊朱肉)で確実な指紋を採取することも可能です。

特殊指紋採取特殊指紋鑑定調査

《液体法による指紋鑑定》

全国の総合探偵社の中でも手紙や紙幣からの指紋採取が可能な会社は数社程度です

非常に難易度の高い指紋採取、鑑定調査です。
労働安全衛生法による技能講習 有機溶剤技能講習及び試験に合格した有資格者による調査です。ご安心下さい。

《紙片からの指紋鑑定 調査手法》

警察の鑑識課で現在利用されている物とほぼ同等水準の特殊混合溶液を紙幣や手紙、布製品の検体全体に、くまなくガラス製霧吹きで、満遍なく吹きかけます。
揮発性が極めて高いので、火気厳禁・十分な換気も必要です。
次にクリーニング店で利用しているものと同等の上質な蒸気を得られるスチームアイロンにて、検体に、くまなく蒸気を当て、その後ただちに、そして慎重に上から捺すようにアイロン掛けを致します。
すると・・・

上記画像は当社で検出した掌指紋です。
A4用紙サイズ1枚以内あたりの範囲を検出する費用は50,000円(税別)となります。

《指紋鑑定調査の結果》

たんぱく質とアミノ酸が科学反応により、上記のように紫色の指紋として忽然と現れるのです。
弊社店舗内に全て常備している調査機材ですので、お気軽にご相談下さい。
怪文書・紙幣・契約書・遺言書等の鑑定結果・他様々な場面で活躍致します。

関係者指紋の指紋採取について

《自分の指紋原紙》

自分の指紋原紙(PDFバージョン) 
自分の指紋原紙(Excelバージョン)
指紋の検出が上手に出来ましたら、次は上記に御座います自分の指紋原紙に関係者同意の上で綺麗な指紋の任意提出をお願いする運びとなります。
価格は1名あたり30000円(税別)となりますので、お客様の方で綺麗に押捺されても構いませんが、如何に綺麗な指紋を押捺してもらえるか?という部分も非常に重要ですので、可能でしたらお任せ下さい。
また、この、自分の指紋原紙の押捺をお願いする段階で犯人よりの自供が得られたり、挙動不審により犯人が判明するケースも多く御座いますので、そのまま、書類作成業務へ橋渡しするケースも多く御座います。
つまり、その活動内容自体非常に重要な作業ということとなります。

 指紋採取調査終了後・・・鑑定書について

《本格指紋鑑定書》

・指紋同一鑑定書  (簡易版)(税別100000円~)
・指紋同一鑑定書  (裁判用)(税別200000円~)
・指紋不合致鑑定書 (簡易版)(税別100000円~)
・指紋不合致鑑定書 (裁判用)(税別200000円~)

鑑 定 方 法

はじめに

 指紋鑑定の課題は、「合致の有無」「遺留確度の吟味」「指紋不存在」の3つがあります。指紋鑑定を実施するのにあたっては、この3つが常に同時に求められています。そのため、鑑定基準も、合致したから犯人だ、という「合致基準」と、合致しないから別人だ、という「不合致基準」の2つがあります。この2つの基準から導き出される指紋鑑定結果は大きく分けて鑑定可能と鑑定不能に分けられ、このうち鑑定可能は3つあり)、①合致(同一人)、②合致状態(順同一人)、③不合致(別人)、となります。①から③の結果が得られることを鑑定の利益(役に立つこと)と言いますが、その利益は、事件の背景など鑑定環境によって「合致の証明」か「不合致の証明」に変わっていきます。以下、これらの推移を述べます。


1 一般的鑑定方法

 指紋の鑑定方法には、特徴点鑑定、隆線縁鑑定、汗腺口鑑定の3つがあります。しかし、現実に世界で実施されているのは特徴点鑑定がほとんどです。隆線縁鑑定は、今後偽造指紋の鑑定には欠かせないものとなります。汗腺口鑑定は、知ってはいるが実例がありません。特徴点鑑定の手法としては、相互比較による合致特徴点指摘法が採用されています。一般にドラマ等では、指紋同士を重ね合わせる、重合法による鑑定が見られますが、現実にはこの重合法は実施されていません。その理由は、指の表面は柔らかいため、指圧力の加減、方向によって伸縮するし、子供時代と大人では大きさも異なるので重ね合わせてぴったり一致するとは限らないからです。むしろ、ぴったり一致した時は、偽装指紋の疑いを持って検討する必要があります。しかし、全体の目安をとるために、鑑定の補助手段として用いることは多々あります。


2 合致特徴点指摘法

 合致特徴点指適法とは、1個の指紋の中に有する約100~120点の特徴点をそれぞれ相互に比較し、合致する特徴点を積み重ねることによって識別する方法です。 特徴点とは、皮膚紋理を形成している突起状の隆線が点、短線、結合、分岐、終止、開始及び曲折する個所を捕らえたものです。その捕らえる1点の固定には、他の2点から方向、距離及び特徴点間の介在隆線数等の計測をした、いわゆるリレーションを検査した結果の一致をもって行なっています(別ウインドウ「指紋概略」参照)。その3点で形成する仮想三角形が合致ないし相似となった特徴点を加えて行くことによって、合致状態の心証を得ます。更に、各点間のリレーションを総合的に見て矛盾点の有無、顕著な価値のある特徴点の存在及び、すう勢の確認を観察して、結論に至るものです。尚、これらの異同識別鑑定は、当初4倍の拡大鏡を用いて行ないます。次に、第2段階として合致決定や決定に至らない類似の指紋等がある場合には、拡大して見やすくしてから検討し、最終的な結論を出します。



3 鑑定の判断基準


(1)   
一般法則鑑定基準

 指紋鑑定において「同一性を証示するためには、どの位の一致した特徴点が必要なのか」という問題があります。この点については、世界各国でも、法律的な規則がなく、また裁判上の取り決めもなく、したがって大部分が指紋実務家たちの手による経験則によって一応12点あれば十分であるとしています。しかしながら、指紋が明瞭でかつ、発現頻度が少ない、顕著な特徴点を有していれば、12点未満でも証示できると言う意見があります。かつて、これらの統一を図ろうとして国際刑事警察委員会では、人種、性別に関係なく、指紋鑑定について 国際的原則の基準を策定しようとした経緯がありましたが、未だ、世界的に確定的な規範が成立するに至っていないのが現状です。このような過程を経て、警察庁は、昭和54(1979)年12月、公的な立場からは不文律ながらも「皮膚紋理鑑定基準12点法則」を設け「二つの指紋を合致と判断するには12点の特徴点を指摘する必要がある。」とし、附帯事項として「矛盾点がないこと」を目安に運用しているのが現実です。皮膚紋理とは、指紋、掌紋、足紋の総称をいいます。

 ここで問題となるのが、「12点法則」の理論的根拠です。現在、この根拠とされているのには二つあります。

 一つは、経験則です。「1点の合致の価値は、10分の1に等しい」という経験則に基き、12点合致することは「10分の12乗=約1兆分の1」の確立である、という説だと聞いています。だが、ここの「10分の1」は経験則の意見であって根拠がないのです。このように、指紋鑑定は、まだ、鑑定人の経験則によって委ねられている部分が多くあるのです。それ以前は、8点から12点の幅を持たせた基準であり、鑑定官の裁量に委ねられた時代でありました。

 二つ目は、警察庁保管指紋原紙による統計的な手法による算出です。警察庁が確立したコンピュータ活用の指紋自動識別システム(旧システム)に保管する100万指を使い、合致特徴点を重ねていくにしたがって減少する数値を捉え、その数値から大学の数学者に依頼して数式化し、その理論的数値によって「12点」あれば、絶対に世界の人口を上回るものである、との統計上の理論的根拠によっています。

 ちなみに、主な外国の例を見ると・スイス12点・フランス17点・アメリカ6~12点・イギリス16点・ドイツ12点などとなっていますが、12点法則を採用している国が最も多いのも事実です。2004年になって「アメリカでは6箇所以上の類似点が確認されれば同一人とみなされる。」とする著書が出版されました(2004.6.5・JFK暗殺40年目の衝撃の証言・原書房)。


(2)   弊社法則鑑定基準

 
ア 「合致」基準

  しかし、当職は、この「12点法則」を考慮しつつも独自の確率論を提唱して「12点法則」を執っておりません。指紋の合致は、一つひとつを積み重ねていくのですが、下記の理論により、もっと低い合致数でも一致鑑定に至るとして実践しています。このように考えるに至った動機は、裁判所や検察官が警察の教養講座等で「12点未満の指紋については、もっと有効活用がないものだろうか。」との要望が出されていることや、現実の12点合致未満の取り扱いです。

 弊社法則は、ここから端を発し、“最終的に有効の評価を受けるものは、その過程も有効の評価を受ける”ものだという道理にしたがって下記の判断基準を生み出し、その結果、「合致」は、7点から12点とした基準を設けたものです。このように幅を持たせた理由は、一応、特徴点が指摘できれば、警察庁鑑定基準や世界各国の鑑定基準をクリアしておくのが、誰でも納得し易いからです。そもそも「鑑定書」は、他人が読むものであり、そして納得しなければ意味がないということです。なお、前記の著書は「ちなみにアメリカでは、6点以上の類似点が確認されれば、容疑者は電気椅子送りとなるという。」(263P)と掲載しており、その根拠はいずれにしても結果として弊社法則の合致基準を1点上回った基準となっています。人権や債権債務を左右する事実認定の重要性に照らすと、これは単なる偶然ではなく、ここに必然性がうかがえます。


 イ 「合致状態」基準

7点未満の合致決定に至らない合致数の時は、「合致状態」として位置づけています。「合致状態」とは、現在は合致と決定するには至っていないが、少なくとも両者に合致する特徴点が事実上存在し、このまま十分な鑑定エリアの 鮮明な原本が確保できたならば合致決定に至る、途中の段階の状態を言います。すなわち、後述の確率論的推理に基づいて考えれば、個人識別の目的から見て世界の人口に満たない確率の特徴点指摘数の段階に該当し、特徴点指摘数3点から6点がこれに当たります。これを設けられる意義は、前述した「最終が有効評価されるものは、その過程も有効評価される」に基づきます。この点につき、警察庁は、合致状態指紋について、「一致鑑定に至らない指紋の利用要領について」として、一定の条件の基に利用できる旨通達(S55.5.31)しているところですが、これは、正式な文書の発行をしないで口頭による参考通達という変則的な取り扱いになっています。すなわち、警察庁鑑定基準は、鑑定可能結果の3つのパターンのうちの1つである「合致状態」という鑑定可能エリアを正式鑑定手続きから除外させておきながら、都合の良い場面だけ事実上の事実認定ないし証拠運用させているという矛盾した取り扱いをしています。しかし、証拠運用する以上は形式に関係なくすべて「正式」になります。

ウ 矛盾点の検討

 指紋鑑定では、皮膚紋理鑑定基準12点法則で「矛盾がないこと」を附帯事項として設けているとおり、矛盾点が存在していれば当然合致判定にはなりません。「12点法則」による合致が得られたからといっても、誰も確認したことがない非常に確かな推論に過ぎないからです。難解なのは、指紋は、柔らかい指の表面についていますから指紋が印象されるたびに微妙な変形を余儀なくされるため矛盾点と非常に紛らわしいことです。そのため、合致するものばかり指摘するのではなく、類似点、矛盾点の見極めが大切になってきます。

 エ 最終決定

 最終的な結論は、上記の合致個数や下記の確率ばかりではなく、ここに、他と顕著に区別できる価値ある特徴点の存在及び矛盾点の合理的な解明などが考慮されて最終的な決定となるものです。
 次に、今後考慮しなければならない分野が「偽装指紋」です。コンピュータ導入による個人認証システムは、セキュリティーなど日常的になってきていますが、既に、特徴点の数から質が問われてくる時代に入っています。そこで威力を発揮するのが「隆線縁鑑定」で、これからは、複合鑑定方法による綿密で立体的な観察が求められてきます。

4 弊社法則の判断基準に対する確率論的推理

 世の中の現象や判断には、常に誤差が伴うから、この誤差を処理しないと正確性には近づかないものです。これを処理するのが確率論です。この判断について「理論的な推論について大切なことは、それが真だというのではなく、妥当だということです。理論的結論は正しくは、正しい、大丈夫、正確という形容詞に値しましょう。」といわれています。(やさしい確率論・レィディ・ラック物語、ウァーレン・ウィーヴァー・秋月康夫/渡辺寿夫訳)。

(1) 特徴点の決定

相互比較対照による指紋鑑定において、もっとも大切なことは、一点の特徴点の決定です。指紋1個の中に存在する特徴点の数は、約100~120点あります。ここでは少なくみて100点として進めます。
 指紋鑑定の性質をみると、指紋像の転写したものを対象としていますから成分鑑定と異なり、間接的な形状鑑定であることは明らかです。この形状は、平面上に存在するから、異同識別に用いる任意の特徴点は、2点計測によって特定されます。すなわち、A点を合致特徴点とするには、B点とC点によって計測しなければならず、同時にB点はA点とC点によって、また、C点はA点とB点によって決定されますから、最低限3点は絶対的に必要となります。次に、4点目は、他の3点から吟味され、5点目は、他の4点から吟味され、12点目は11点目から吟味され、このように、順次決定されていく特徴点は、その都度決定済みの特徴点から個別に吟味されてゆくので、類似の特徴点は自ら淘汰されていきます。そして、同一指紋像の中で独立した単事象3点が関連しながら同時に生起しています。これを「複合現象」といいます。このように、ここで大切なのは、合致点が1点ずつ加えられていくことは各段階での評価が全部異なり、最終的に12点に到達して「断定」の評価で終結します。

 
(2) 複合現象の生起確率

指紋の合致確率を推移するには、順次2点方式で合致特徴点を追加して特徴点群を特定し、その複合現象の生起確率を求め、その確率が現在地球上に存在する人口より減少すれば、この合致特徴点複合現象は、万人不同の原則に照らして他に存在しないこととなります。

 このようにして、指紋像の中の約100点の特徴点n個から形成される任意の特徴点r個を選んだ組合せ生起確率をみると、その順序には問題ないようであれば、これを求める一般公式は、

これを簡単に説明すると、次のようになります。

基本は、最低限3点が必要なため、3点から始まります。3箇所のうち任意に選んだ3点の組み合わせは、1通りであることは明らかです。では、4箇所のうち任意に選んだ3点の組み合わせは、何通りか、これが5箇所、6箇所と増えていって100箇所のうち3点の組み合わせは、何通りか、を見ると次にようになります。

        3・2・1               3・2・1

3箇所=3C3=3・2・1=1通り   4箇所=4C3=3・2・1=4通り

  5・4・3                6・5・4

5箇所=5C3=3・2・1=10通り  6箇所=6C3=3・2・1=20通り

7箇所=7C3=3・2・1=35通り…100箇所=100C3=3・2・1=161,700通り

すなわち、100箇所のうち任意の3点を選んだ時の生起確率は、16万1,700分の1です。

では、100箇所のうち任意の3点を1点ずつ増やしていって各特徴点指摘数7点までの生起確率を見ると、次のようになります。

3点 = 161,700分の1

4点 = 3,921,225分の1

5点 = 75,287,520分の1

6点 = 1,192,052,400分の1

7点 = 16,007,560,800分の1

したがって、この確立から見る限り、現状世界の人口を約70億人~将来的に110億人程度としても、合致特徴点は7点あれば160億分の1となり、「万人不同の原則」と同時に考えると確率論的には十分なのであります。弊社法則の論拠はここにあります。

そして、「合致状態」は、6点までは合致に至る通過点としての事実状態を活用しているものであって、「合致」と「合致状態」は同類項なのです。なお、警察庁のいう「12点法則」も、一度に発生するのではなく、3点から12点まで順次発生するもので、必ず合致状態を通過しなければなりませんから、この「合致状態を」含んでいます。

5 不合致鑑定基準

(1) 不合致鑑定基準の必要性

 指紋の「合致」と「不合致」は、万人不同の原則によって一方が合致すれば他方は絶対に合致しません。これを排反事象といいます。例えば、ここに絶対犯人に間違いが無い指紋や借用書の指印が1個あるとします。そこへ疑われている人がいた時、合致しないということは、犯人ではないし、債務が無いことを証明してくれます。これは、排反事象の典型です。この時の判断基準は何点必要か?という問題です。このように、実務では、犯人や当人に間違いが無い指紋があるときは、合致ばかりが鑑定ではなく、指紋が合致しない利益を必要とする場面があります。しかし、現在の鑑定基準では、12点未満は必然的に「鑑定不能」又は「対照不能」になったり、保管対象になっていないから廃棄される運命にさらされる可能性があります。現在の鑑定基準では、これが明確に示されていません。

(2) 不合致鑑定基準3点法則

そこで、当職は、「不合致」と断定する為には、最低3箇所の矛盾点があれば別個の指紋であると断定しています。一般的には、「矛盾点が無いこと」が附帯条件にもなっていますから、1点が合致しなければ合致とは言えません。「万人不同の原則」も、「12点法則」も、所詮は誰も確かめたことがない「非常に確かな推論」に過ぎないからです。しかし、この1点の平面状の位置特定を証明する為には、2点計測にしたがって2箇所の特徴が必要ですから、合計3箇所が必要になってきます。因みに2003年(平成14年)3月12日名古屋地方裁判所で判決があった窃盗否認事件では、検察官が、被告人と別人であることを立証するために「4点不合致」を理由に証拠提出しているので、実例として4点以上は必要無い。との基準値を公的に示しております。この意味するところは、12点未満でも鑑定の利益がある、すなわち、鑑定可能であることを実践し、必ずしも「鑑定不能」、「対照不能」ではないことを示しているのです。

調査に関することは全て当社店舗内で可能ですが、裁判で本格的に争う場合は、予め元警察官・犯罪鑑識経験年数数十年の弊社取引先と相談してから調査プランを策定したいと考えております。指紋鑑定書の有効性、信憑性、証拠提出のタイミングや戦略等々様々な状況に応じてベストを尽くせるように当社としましても最善を尽くすお約束を致します。

当社でも鑑定書の御提出、調査報告書作成は可能ですが、
事件性がある場合等指紋鑑定書みの元警察官の専門家に作成、依頼されることも検討する必要がございます。
詳細は、お気軽にお問い合わせ下さい!!

指紋鑑定書 サンプル


                             平成24年00月00日

○○ ○○ 殿

株式会社オブザーバー指紋鑑定室

                      代表取締役   戸塚 敦士

指紋鑑定書の送付について

平成24年00月00日付けをもって依頼のありました

「鑑定可能指紋等付着の有無確認事案」

の鑑定につきましては、別添のとおり 指紋鑑定士 戸塚敦士

が作成した指紋鑑定書のとおりでありますので送付致します。

鑑 定 書

【 鑑 定 】

平成24年00月00日付けをもって依頼を受けました、下記事件に対する指紋等の鑑定

(第一鑑定)については、下記のとおりです。

第一 鑑定環境

 1 事件名

   鑑定可能指紋等付着の有無確認事案

 2 依頼者

   ○○ ○○

 3 事件の概要

   指紋検出済みの怪文書(A41枚相当)に鑑定可能指紋等があるかどうかが求められたもの。

 4 鑑定資器材

   鑑定にあたっては、必要により次の資器材を使用しながら進めました。

(1)  カメラ、パソコン画像処理ソフトと周辺機器、スキャーナー等

    Canon デジタルカメラEOS-1D Mark IV 

    接写用レンズ Canon  MP-E65mm F2.8 1-5×マクロフォト
    接写用レンズ Canon  EF50mm F2.5コンパクトマクロ
    LPLコピースタンドCS-40セット

    Adobe Photoshop 、Microsoft Word 、プリンターHewlett-Packard

(2)  拡大鏡、各種指紋検出試薬等

    双眼実体顕微鏡(照明装置/落射・透過のもの ~40倍)

    業務用アイロン(良質な蒸気が得られるもの)

    指紋検出用液体(ニヒドリン)・等

第二 鑑定資料

 1 鑑定すべき資料
    (1)  ニヒドリン水溶液にて指紋検出済みの 怪文書(A41枚相当 表裏面)
        ※依頼者の自宅に投函されたもの。

2 対照資料

  なし

3 関係者指紋2名(自分の指紋原紙 に任意にて押捺及び本人自筆署名を受けたもの)

  (1)○○ ○○

  (2)○○ ○○

第三 鑑定事項

 1 鑑定資料1に鑑定可能指紋等付着の有無。

 2 その他参照事項。

第四 鑑定結果

  1資料所見

資料所見とは、現在検体がどのようになっているのか?を把握することと、指紋検出しようとする検体の検出試薬を決定する大切な観察です。

指紋検出は、一般紙類からは液体法を用います。非吸収物件は、粉末法やガス法を用いています。

また、必要により二つの検出方法を行う複式検出も行う場合があります。       

これらは、検出しようとする物件の状況によってその都度判断しています。

これらに基づいて、各資料の状況を観察して検出方法を検討したところ、以下の通りとなります。

 
(1)怪文書(A41枚相当 表裏面)について【鑑定資料1-(1)】
   これは、弊社にてニヒドリン水溶液法にて指紋を検出し、検出指紋部分が紫色の色合いを呈した。
(2) 関係者指紋について【鑑定資料1-(2)】及び【鑑定資料1-(3)】
   関係者指紋は、当社指定の用紙に黒色インクによって10本の指の平面印象、回転印象が押されている。    掌紋はありません。その鮮明度は、ほぼ適正に捺されていて、鑑定に支障ありません。

2鑑定可能指紋等の検索

次に、各資料の検出状況を見て指で触れた後がわかる、いわゆる指痕の存在を確認し、これに対して再度検査した後、鑑定可能な指紋像を四角で囲み、鑑定不能なものにはチェック印をつけてふるい分け選別をしました。

この選別基準のうち、鑑定不能とは、指痕の存在は認められるが、特徴点の把握が困難か、あるいは指紋隆線が不鮮明であるため鑑定識別には現段階では活用が難しいものを言います。

このようにして検査した結果は、添付【鑑定資料1-(1)】コピーに記載の通り約16箇所検査し、鑑定可能な指紋1個、掌紋0個が残りました。

3異同識別検査

 (1)鑑定方法

鑑定方法は、特徴点の相互比較によって得られた合致特徴点を積み重ねることによって識別する特徴点指摘法を採用しております。

特徴点とは、皮膚紋理を形成している突起状の隆線が、点、単線、結合、分岐、終止、開始及び曲折する箇所を捉えたものです。その捉える1点の固定には、他の2点から方向、距離及び特徴点間の介在隆線数等の計測をした、いわゆるリレーションを検査した結果の一致をもって行なっております。

その結果、3点~6点合致を「合致状態」とし、7点~12点までを「合致」とする法則を基準としています。

因みに、警察庁鑑定基準は12点法則を、アメリカの多くの州では6点法則を執っております。

※この詳細は「鑑定方法」をご参照下さい。

(2)遺留指紋及び対照指紋の選別基準

 指紋等の鑑定にあたっては、検出ないし採取したばかりのものでは、実行行為者のものに混じって関係者の指紋も相当数含まれているものであります。鑑定の効率を高める為には、その中から関係者の指紋等を選別対照してふるい落とさなければなりません。この選別対照を経た結果が、鑑定資料1では「遺留指紋」と言い、鑑定資料3では、「対照指紋」と言っております。

 事案の都合上関係者全員の鮮明な指紋が確保できない場合や、確保する必要の無い場合については、それぞれ「暫定遺留指紋」、「暫定対照指紋」と称して処理をしております。この2つの違いは、相互の総対照回数に伴う作業量の増減と真の遺留指紋の絞り込みに影響してくるものであります。従って、鑑定資料送付にあたっては、できるだけ関係者の把握をし、関係者指紋の確保に努める事が望ましいといえます。

(3)関係者指紋との照合

 関係者指紋2名の内、対照指紋【鑑定資料1-(3)】にある左手親指(拇指)下段と
検出指紋【鑑定資料1-(1)】の内、左下四角で囲った遺留指紋1個が
6点の特徴合致を確認し、「合致状態」となった。

これは、下記の鑑定資料2が示す通りである。

【鑑定資料1-(3)】にある左手親指(拇指)下段の(鑑定資料2―1)

【鑑定資料1-(1)】の内、左下四角で囲った遺留指紋1個(鑑定資料2―2)

上記2枚を重ね併せて印刷したものが鑑定資料2であります。

【指紋チェック個数16個 内  遺留指紋1個 検出対象1個】 【6点合致】

第六 考察

1指紋検出の可否について

  指紋が検出できる主な要件は、次の3要素9項目が密接に絡んでいる。

Ⅰ 人的要素  ① 分泌物等の量と押圧力の程度

        ② 対象者の個性と精神状態

        ③ 指紋鑑定基準と検出者の技術・意欲

Ⅱ 物的要素  ④ 印象物件の材質・新旧

        ⑤ 指紋検出方法の妥当性

        ⑥ 温冷・乾湿・明暗(季節と天候)による付着力の相違

Ⅲ 事後的要素 ⑦ 犯行手順過程に伴う水濡れ等の外的障害

        ⑧ 指紋隠滅工作、関係者・臨場者による人的破壊

        ⑨ 発生からの時間経過

指紋検出は、この9項目を満たせばかなり鮮明に検出することができます。
しかし、どれかが不足していくと検出確立は下がっていくものです。
このように、指紋検出では、採れる条件から採れない条件までかなり広い幅をもって現れる現象です。
指紋は、「チェック箇所」にも示したように触れればその痕跡が残るものです。問題は、その指紋が鑑定に耐えられる特徴点を備えているか?どうかなのです。当社における現実の統計状況は、全チェック箇所の1割前後が鑑定可能として残っているのが実態です。
この観点から本件についてみるとチェック箇所16件に対し、1個の採取は、ほぼ平均値となります。

2遺留確度について

遺留確度とは、残された指紋等が犯人のものである確立を言います。この算出は、厳格な計算方法があるのではなく、関係者の把握、印象物件と位置、方向、形状などを総合して推し量るものであります。

 本件については、関係者指紋2名の内の、1名(○○○○)氏が犯人と考えられます。

3措置

 弁護士等と相談される事が望ましいと思います。

第七 鑑定年月日及び場所

 平成24年○○月○○日から平成24年7月9日までの間

〒169-0073
東京都新宿区百人町1丁目23番17号 大久保南口共同ビル4階

※  付記

1鑑定資料は、本書とともに返却致します。

※  添付資料

1 鑑定資料1-(1)コピー 鑑定資料1-(2)コピー 鑑定資料1-(3)コピー

2 鑑定資料2 鑑定資料2-1 鑑定資料2-2

3 撮影写真資料

 筆跡鑑定調査

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