大阪府部落差別事象に係る調査等の規則等に関する条例 (昭和六〇年三月二七日大阪府条例第二号)
◇ 目的 |
第一条 この条例は、同和地区に居住していること・又は居住していたことを理由になされる結婚差別、就職差別の差別事象(以下「部落差別事象」という。)を引き起こすおそれのある調査、報告等の規制等に関し必要な事項を定めることにより、部落差別事象の発生を防止し、もって府民の基本的人権の擁護に資することを目的とする。 |
◇ 定義 |
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一) 同和地区 歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域をいう。 二) 興信所・探偵社業 府の区域内において、他人の依頼を受けて、個人調査、法人調査その他いかなる名目の調査であるかを、問わず、特定の個人についてその信用、資産、経歴、 素行その他の個人に関する事項を調査し、かつ、報告する営業をいう。 三) 興信所・探偵社業者 興信所・探偵社業をいう。 |
◇ 府、興信所・探偵者業者及び府民の責務 |
第三条 1) 府は、国及び市町村と協力して、第一条の目的を達成するため必要な啓発に努めるものとする。 2) 興信所・探偵社業者は、その営業について、社会的責任を自覚し、第一条の目的に反する行為をしないよう努めなければならない。 3) 府民は、第一条の目的に反する調査又は調査の依頼をしないように努めなければならない。 |
◇ 適用上の注意 |
第四条 この条例の適用に当たっては、興信所・探偵社業者及び府民の自由と権利を不当に侵害するようなことがあってはならない。 |
◇ 自主規制 |
第五条 1) 興信所・探偵業者の組織する団体は、その構成員である興信所・探偵社業者に次に掲げる事項を遵守させるため必要な規約を設定するよう努めなければならない。 一) 特定の個人又はその親族の現在又は過去の居住地が、同和地区にあるかないかについて調査し、 又は報告しないこと。 二) 同和地区の所在地の一覧表等の提供及び特定の場所又は地域が同和地区にあることの教示を しないこと。 2) 興信所・探偵社業者の組織する団体は、その構成員である興信所・探偵社業者に前項の規約を遵守させるため必要な指導を行うよう努めなければならない。 3) 興信所・探偵社業者の組織する団体は、第一項の規約を設定したときは、速やかに、当該規約の内容その他の規則で定める事項を知事に届け出なければならない。その届出に係る事項を変更し、又はその届出に係る規約を廃止したときも、同様とする。 |
◇ 届出 |
第六条 1) 興信所・探偵社業を営もうとする者は、あらかじめ、次に掲げる事項を知事に届けでなければならない 一) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 二) 営業所の名称及び所在地 2) 前項の規定による届出をした興信所・探偵社業者は、同項各号に掲げる事項に変更を生じたとき、又はその営業を廃止したときは、その日から一〇日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。 |
◇ 遵守事項 |
第七条 1) 興信所・探偵社業者は、その営業に関し、第五条第一項各号に掲げる事項を遵守しなければならない。 2) 興信所・探偵社業者は、その営業に関し従業者に第五条第一項各号に掲げる事項を遵守させるため必要な指導及び監督を行わなければならない。 |
◇ 帳簿等の備付 |
第八条 興信所・探偵社業者は、規則で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する帳簿及び従業者名簿を備え、規則で定める事項を記載しなければならない。 |
◇ 指示、営業停止及び聴聞 |
第九条 1) 知事は、興信所・探偵社業者が第七条第一項の規定に違反したときは、当該興信所・探偵社業者に対し必要な指示をすることができる。 2) 知事は、興信所・探偵業者が前項の指示に従わないときは、当該興信所・探偵社業者に対し、一月を越えない範囲内で期間を定めて、その営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。 3) 知事は、前項の規定に処分をしようとするときは、あらかじめ、当該処分に係る興信所・探偵社業者に当該処分をしようとする理由を通知し、弁明及び証拠の提出の機会を与えるため聴聞を行わなければならない。 |
◇ 指導及び助言 |
第一〇条 知事は、興信所・探偵社業者の組織する団体に対し第五条第一項の規約の設定について、興信所・探偵社業者に対し第七条第二項の指導及び監督について必要な指導及び助言をすることができる。 |
◇ 報告の徴収等 |
第一一条 1) 知事は、第七条の規定の実施に必要な限度において、興信所・探偵社業者に対しその営業に関し報告若しくは資料の提供を求め、又はその職員に、興信所・探偵社業者の営業所に立ち入り、帳簿及び書類の検査をさせ、若しくは関係者に質問させることができる。 2) 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 |
◇ 規則への委任 |
第一二条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 |
◇ 罰則 |
第一三条 第九条第二項の規定による命令に違反した者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。 第一四条 第一一条第一項の報告若しくは資料の提出をせず、若しくは同項の報告若しくは資料の提出について虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は同項の規定による検査若しくは質問を正当な理由なく拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、二万円以下の罰金に処する。 第一五条 次の各号の一に該当する者は、科料に処する。 一) 第六条第一項の規定に違反してあらかじめ届出をせず、又は同第二項の規定に違反して変更若しくは廃止の日から一〇以内に届出をしなかった者 二) 第八条の規定に違反した者 |
◇ 両罰規定 |
第一六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関して前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑又は、科料刑を科する。 |
◇ 附則 |
この条例は、昭和六〇年一〇月一日から施行する。 |
◇ 軽過措置 |
この条例の施行の際現に興信所・探偵社業者を営んでいる者に関する第六条第一項の規定の適用については、同項中「あらかじめ」とあるのは、「昭和六〇年一一月三〇日までに」とする。 |